はじめまして。鵜野森団地管理組合(相模原市)前理事長の小里と申します。
うちは今年築56年。ご多分に漏れず、建物の老朽化と住民の高齢化の「二つの老い」という難題を抱えていますが、建て替えか長寿命化か、将来構想を描けぬまま今に至っています。
そこで助力を仰いだのが団地再生支援協会。お付き合いを始めて日は浅いですが、三ツ星団地評価「DANCHI-SCORE 100」などを通じて様々な気づきや学びを得ています。
それを象徴するエピソードを一つ。
団地敷地内を練り歩きながら、協会の方々を案内していたときのこと。スタッフのお一人が駐輪場の屋根をご覧になって「素敵なデザインだ」と評したのです。私たち役員は驚きのあまり顔を見合わせました。駐輪場の屋根をそんなふうに眺めたことがなかったからです。ろくに目を留めたことすらなかった。
団地に造詣が深い外部の識者だからこそ、一見してそこに価値を見出すことができたのでしょう。一方、私たち住民は思いのほか、自分たちのことを知らない。長年、暮らしてきた団地の利点や美点に気づいていない。その事実を示唆する一コマだったように思います。
団地再生というと、建て替えか長寿命化か、といった二元論に終始しがちですが、本当はもっと豊かな可能性を含んだテーマなのかもしれません。そう考えれば、今後の議論もいっそう楽しくなりそうです。
小里 清(おり・きよし)
鵜野森団地管理組合 監事
Comments